Outbound challenges (Japanese version)
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Outbound challenges (Japanese version)

アウトバウンドの課題


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中国のM&Aが大半を占めた1年が終わり、日本企業が国際市場で勢いを取り戻しつつありますが、国内ルールがその足かせになっています。

2015年6月に導入されたコーポレートガバナンスコードは、日本の上場企業に対し、社外取締役の増員と取締役会に成長戦略の評価を求めています。

この影響を受けているのは国内の国際企業だけではありません。縮小する国内市場を離れ、高品質の資産を海外に求める国内企業が増加しています。

主要な投資先は米国ですが、日本の法律家はドナルド・トランプ大統領の貿易政策で自動車業界が最も大きな影響を受けると見ています。日本の企業はメキシコでの投資を増やそうとしています。しかし、トランプ大統領が米国やトヨタを含む海外の自動車メーカーに対し、米国に対する投資拡大を求める姿勢をとっているため、日本企業は次の展開に苦慮しています。

「NAFTAの規制を含め、米国とメキシコの関係で新しい大統領が何を行うのか注目している」と西村あさひ法律事務所のパートナー、藤本欣伸氏は述べています。トランプ大統領が、輸入関税の引き上げなどでメキシコとの貿易を制限した場合、米国市場における日本車の価値や販売価格に影響を及ぼす可能性があるとも述べています。

Dealogicのデータによると、今年初めから3月8日までの日本のアウトバウンド取引は99件でした。米国の1,927件、中国の781件から引き離され、世界で11位という結果になっています。

3月8日までの海外での日本主導の買収は合計99件で、36件が米国、5件がフランスで行われていました。投資先の上位は北米、欧州、東南アジアで、北米で合計38件、欧州で29件、東南アジアで14件の取引が完了しています。

東証1部の武田薬品が2月16日、ナスダック上場のAriad Pharmaceuticalsの買収を完了し、過半数を超える株式を56億ドルで取得しました。これは日本の新たなアウトバウンドM&Aの動きの中で最も大きな取引の一つです。取引規模でみると、この取引はアジアの企業が行った主要な案件の中で最大規模で、世界的には11位となっています。

また、Dealogicのデータを見ると、エレクトロニクスや消費者製品分野の日本企業が海外のヘルスケア企業や投資運用志向企業に対して活発な動きを見せています。

しかし、昨年の日本のアウトバウンドM&A取引の件数は大幅に減少しています。2015年は1,278件でしたが、前年は1,326件中761件と減少しています。

米国は引き続き日本企業からの直接投資(FDI)を引き付けていますが、昨年6月に決定した英国のEU離脱、フランスとイタリアで今年実施される選挙の見通しから、この地域に対する日本企業の投資は慎重になっています。昨年9月、ソフトバンクが英国のチップメーカARM Holdingsを310億ドルで買収しました。この買収は英国の対内直接投資の拡大を牽引しましたが、日本企業は今後の国政選挙の不確実性を懸念し、慎重な姿勢を崩していません。

「英国市場への投資は依然として強い関心が持たれているが、英国市場に対する投資に以前よりも慎重になっている日本企業が存在するのも事実である」と藤本氏は述べています。

インドへの進出

日本企業はこの10年間、ミャンマーやインドなどの新興市場に照準を当ててきました。昨年インドで行われた日本主導の取引は38件です。しかし、インドは規制や税制が比較的複雑で、連邦と州の規制の関係もあり、欧州、米国、東南アジア市場に比べると、日本企業にとっては投資の難しい国です。

森・濱田松本法律事務所のパートナーである紀平貴之氏は「規制当局の認可申請は、予想以上に時間がかかり、別の部門に回される場合もある」と指摘しています。

アンダーソン・毛利・友常法律事務所のパートナーである勝間田学氏は、インドで働く外国企業が直面している労働問題を指摘し、「活発な投資が継続すると見られているが、適切な現地パートナーが不足している」と述べています。

インドでの日本企業の取引に詳しい日本の弁護士は、「少額の株式譲渡でも関係部門と中央銀行の承認が下りるまでに1年以上かかったケースもある」とIFLRに述べています。しかし、紀平氏は「最近、新しい破産・倒産法が導入され、独禁法と会社法が改正されたため、日本企業のインドへの投資が加速化する」と見ています。

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