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The Japanese Overseas Investment Report 2017: Philippines (Japanese version)

フィリピン

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SECTION 1: 市場見通し

1.1 日本の企業文化の影響に対するあなたの国の姿勢を要約してください。

フィリピンは、長年にわたり日本企業の貿易・投資に有効なプラットフォームとなりうることを証明してきました。日本は、23年間にわたりフィリピンに政府開発援助(ODE)を実施してきました。日本の企業文化は好意的に捉えられているだけでなく、両国の相互発展において不可欠な要素としても認識されています。

1.2 今後12ヶ月における日本からあなたの国への投資の見通しは?

2016年10月、ドゥテルテ大統領は日本訪問の際に日本企業から190億ドルに及ぶ投資と融資を確保しました。2017年1月、安倍総理は日本企業にフィリピンへの投資を求め、マニラ訪問時には今後5年間で1兆円(89億ドル)の援助と投資を約束しました。この流れは、今後数年間、日本からの投資が積極的に行われることを示唆しています。以前の投資もまた、この結論を裏付けています。ローソンやファミリーマートなどのコンビニエンスチェーンはフィリピンでの事業を拡大しています。三菱東京UFJ銀行は、主要な地方銀行であるセキュリティバンクの株式の20%を取得しました。NTTグループと三菱グループは、フィリピンの大手企業であるPLDTとアラヤアヤラ・コーポレーションに戦略的な投資を行っています。大手建設会社DMCIホールディングスは丸紅と提携し、インフラ整備プロジェクトを推進しています。これらの事例を見ても、日本企業がフィリピンで大きな成果を上げていることは明らかです。

SECTION 2: 外国投資の承認

2.1 外国資本投資の認可プロセスとスケジュールを説明してください。

一般に、外国投資は、フィリピンでの会社設立に必要な許可を得る以外に、事前に必要となる承認はありません。

ただし、外国法人が既存の国内法人の株式を購入または譲り受けると、当該国内法人の外国株式が40%を超える場合、あるいは外国株式の比率がすでに40%に達している国内法人の外国資本率を増やす場合には、フィリピン証券取引委員会(SEC)に申請する必要があります。SECの承認には通常2~3週間かかります。

さらに、外国の投資家が保険、銀行、公益事業などの規制対象業種に投資を行う場合には、関連規制当局の承認を事前に得ることが特別法で義務付けられています。

2.2 特に規制されている分野での投資の制限はありますか?また、政府はそれらの分野に於ける特別な権限を有していますか?

フィリピン政府は、外国投資のネガティブリストを2年ごとに公表し、外国資本の参入を全面的または部分的に制限している業種を提示しています。

ネガティブリストには2種類のリストがあります。リストAには、フィリピンの憲法または特定の法律で外国資本が制限されている投資分野が記載されています。また、リストBには、安全保障、防衛、健康被害、道徳的リスク、地方中小企業の保護のため外国資本が制限されている投資分野が示されています。

たとえば、払込資本金が250万ドル未満のマスメディアや小売業の企業は、フィリピン国民か、フィリピン国民が100%出資の企業が経営しなければなりません。私有地の所有権、鉱業、公益事業の経営は、フィリピンの国民またはフィリピン国民の60%以上が所有する法人にのみ許可されます。

2.3 どの機関が競争承認を監督していますか?また、合併承認のプロセスの概要を説明してください。

フィリピン競争委員会がフィリピン競争法を施行し、事業競争を監督しています。

委員会が取引の違法性を適切に判断するため、合併または買収取引の価値が10億ペソ(2,000万ドル)を超える場合に委員会に通知することを取引当事者に義務付けています。

競争法の履行規則および規制により、対象事業の総売上と買収される企業の所有状態も報告するように、事前通知を要する取引の基準が改正されています。通知を受理してから30日以内に委員会から合併に関する連絡がない場合、取引を継続できます。ただし、委員会が追加情報の提出を求めた場合、この猶予期間は30日間延長されます(ただし、合計で60日を超えない範囲)。

委員会は、通知内容に基づき、禁止された合併・買収かどうかを判断します。審査後、取引が競争法に違反していると判断した場合、委員会は、取引の禁止、取引変更の勧告と罰金賦課など、法令遵守に必要な措置を行います。委員会に通知要件には、法律または規制に基づいて関連する規制当局(たとえば、銀行関連の取引の場合には中央通貨管理局)から取得しなければならない承認も含まれています。法律により、買収や金融取引の終了条件が追加されています。

2.4 他に外国投資家が気をつけるべき認可要件はありますか?

外国人投資家が既存法人の株式を購入する場合、会計帳簿に株式の所有が記録される前に、株式購入に必要な税金が納付済みであることを証明する文書を内国歳入庁から取得する必要があります。

SECTION 3: 投資技術

3.1 あなたの国で日本からの投資に使われる最も一般的な法人形態は何ですか?

日本からの投資で最も一般的な法人形態は、駐在員事務所、支店、現地法人(内国法人)です。本社/親会社に許容される活動、課税、責任範囲、管理権限、維持費は、選択した法人形態によって異なります。

3.2 これらの法人形態の設立と事業活動にとって重要な必要条件とは?

駐在員事務所

駐在員事務所は、フィリピンに拠点を置く顧客企業または顧客と本社との連絡窓口としてのみ機能します。実施可能な活動は、自社製品などの情報の提供、プロモーション、品質管理に限定されます。

駐在員事務所は、本社に代わって販売契約を締結することはできません。フィリピンで営業活動を行うことはできません。経費はすべて本社が補うことになります。

最低資本金: 駐在員事務所の費用を30,000ドル以上(または受け取り可能な外貨で同等額)フィリピンに送金しなければなりません。

支店

外国法人が親会社の事業活動をフィリピンで展開し、営業活動を行う場合、支店を設立することができます。

支店は親会社と同じく法人として扱われます。支店の設立で、独立した法人が新たに設立されることはありません。したがって、フィリピンの支店との裁判や賠償責任は親会社に対して行われます。支店も外国法人と見なされます。このため、事業活動が外国資本の参入制限の対象になる場合、支店の設立が許可されない可能性があります。

最低資本金: 支店の費用を200,000ドル以上(または受け取り可能な外貨で同等額)フィリピンに送金しなければなりません。

現地法人/内国法人

外国人投資家は、フィリピンに内国法人または現地法人を設立することもできます。内国法人または現地法人は、株主とは別個の法人になります。したがって、外国法人の現地法人は、法律的にも事実上も親会社とは別個の法人として扱われます。現地法人は法的に独立した事業体となります。

最低資本金: 一般に、外国資本の比率が40%を超える内国法人は、少なくとも200,000ドル相当の最低払込資本が必要になります。

SECTION 4: 紛争解決

4.1. 現地の裁判所の施行と紛争解決の訴訟手続はどれくらい効果的であるのか?また、日本の投資家が特に気をつけるべき点とは?

紛争解決の代替方法(国内、憲法、国際商事仲裁、調停など)が共和国法9285号で明示的に規定されています。国際商事仲裁の場合、ADR制度で1985年のUNCITRAL国際商事仲裁モデル法が採用されています。

4.2. あなたの国では日本との二国間投資保護協定を締結していますか?また、投資家によってその協定は一般的に活用されていますか?

フィリピンと日本は、両国間の投資機会の拡大と保護を目的に、日・フィリピン経済連携協定という二国間投資保護条約を締結しました。フィリピンでは現在、日本からの特定の輸入品(自動車など)に対する関税率に特別優遇処置を講じています。

4.3. 現地の裁判所は外国の判定を尊重していますか?また、国際仲裁判断は法的効力がありますか?

外国の裁判判決および仲裁判断は、フィリピンで執行可能であり、尊重されています。

特定の事柄に対する外国の裁判判決は最終的な証拠としてみなされますが、個人に対する外国の裁判判決は、当事者およびその後任者の間の権利の推定証拠に過ぎません。いずれの場合も、外国裁判判決は、管轄権の違い、当事者への通知、共謀、詐欺、法律または事実の明らかな誤認の証拠によって覆る可能性があります。

外国仲裁判断の承認および執行は、1958年ニューヨーク条約に準拠しています。ただし、ニューヨーク条約を批准していない国で行われた外国仲裁判断に対して、当該国がフィリピンでの裁定を承認した場合、当該国における判断を尊重し、執行する場合があります。それ以外の場合は、外国裁判判断および判決と同じ方法で執行します。特に、外国仲裁判断はしかるべき時期にフィリピンの裁判所の執行対象となるため、そのメリットを評価することはできません。また、フィリピンの裁判所はニューヨーク条約第5条に規定されている限定的な理由に基づいて、外国仲裁判断の承認と執行を拒否する場合があります。

フィリピンの裁判所は外国仲裁判断を承認・執行する傾向がありますが、調停の結果が出るまでに行った経過措置が裁定後も有効かどうかは不明な点が残ります。

SECTION 5: 外国為替規制と現地のオペレーション

5.1 外国の投資家が留意すべき外貨と為替制限は?

フィリピン中央銀行(BSP)への外国資本の登録は必須ではありません。BSPへの外国資本の登録は、フィリピンの銀行システムから本国への利益送金や資本送還で外貨調達が必要になる場合にのみ必要になります。外国資本の登録を行っていない場合、資本送還や利益送金で必要になる外貨調達は、銀行システム以外で行う必要があります。

SECTION 6: 税務上の影響

6.1 日本の投資家にとって特に役に立つ有益な税の仲介法域または税制はありますか?

一般に、対象企業で利用可能な税制優遇措置は利用するべきです。また、日・フィリピン租税条約を十分に活用すべきです。

6.2 配当に対する法人税と源泉課税の適用率はどのくらいですか?

フィリピンの法人税は、法人または支店の課税対象純収入の30%です。一般に、非居住外国法人の株主配当には、30%の最終源泉税が課税されます。ただし、非居住の日本法人は、日・フィリピン租税条約により配当税率の引下げが可能になる場合があります。

6.3 政府は税制上の優遇措置を構築していますか?

フィリピンで事業を行っている法人は、事業内容、事業の実施場所、事業登録を行った政府機関に応じて、財政上や財政以外の優遇処置を利用できる場合があります。

企業は、フィリピン国内の任意の経済圏または経済特区に設立できます。設立場所の法律の定めに従って登録し、規制を遵守することで優遇処置を利用できる場合もあります。

経済圏または経済特区外にある企業は、フィリピンのオムニバス投資法に従い、パイオニア企業または非パイオニア企業として登録することができます。登録が完了すると、財政上および非財政上の優遇処置を利用できます。現在の投資優先計画に事業が記載されている場合には、パイオニア企業または非パイオニア企業として投資委員会(BOI)に登録することができます。

BOIにパイオニア企業として登録されている企業は6年間、非パイオニア企業として登録されている企業は4年間、所得税が免除されます。これらの企業は、資本設備、予備部品、付属品の輸入関税がかかりません。また、輸入した付属品や予備部品に対する税金が免除されます。

6.4 あなたの国と日本との間で相互的な租税協定はありますか?あればそれは投資家にとってどのような助けとなりますか?

二重課税を回避するため、日・フィリピン租税条約が締結されています。この租税条約では、日本の居住者に対する配当税に優遇税率が適用されます。一般に、日本の居住者に支払われる配当金は、当該居住者が配当支払日の直前の6か月間で配当を支払う企業の議決権付き株式を10%以上、あるいは当該企業が発行している総株数の10%以上を直接所有している場合、配当金総額の10%になります。それ以外の場合は、配当金総額の15%になります。

著者略歴

シルベット・イ・タンチャン
シニアパートナー、ビララサ&アンジャンコ法律事務所
フィリピン・マニラ
電話: 632 988 6088
F: 632 988 6000
メール: sy.tankiang@thefirmva.com
HP: www.thefirmva.com

シルベット・イ・タンチャンは、ビララサ&アンジャンコ法律事務所の税務部門の責任者です。フィリピン大学法学部の講師も務めています。課税、合併買収、銀行・金融、証券、電力、エネルギー分野に精通しています。また、現地法と国際法の様々な協会にも参加し、役員を務めています。環太平洋法曹協会にも加盟しています。

1977年に卒業したデ・ラ・サール大学で経済学を専攻し、学士号を取得しました。彼女は1981年にフィリピン大学法学部で法学の学士号を取得し、卒業生総代に選ばれました。1986年にはハーバード大学で法学修士を取得しました。


フランチェット・M・アコスタ

シニアパートナー、ビララサ&アンジャンコ法律事務所
フィリピン・マニラ
電話: 632 988 6088
F: 632 988 6000
メール: fm.acosta@thefirmva.com
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フランチェット・M・アコスタは、ビララサ&アンジャンコ法律事務所の商法部門の責任者です。商法を専門とし、外国投資取引、民間および上場企業の合併・買収、債務、株式供与(株式公開を含む)に関する助言を行ってきています。銀行や金融、電気通信、不動産開発、鉱業、電力、エネルギーなど、さまざまな業界の公開企業や非公開企業の弁護士を務めています。さらに、顧客を代表して、政府機関に対して調達、BOTプロジェクトプロジェクトに関する交渉を行っています。

ニューヨーク大学で法学士(LLM)、フィリピン大学法学部で学士号(LLB)を取得して、卒業式総代を務めています。また、フィリピン大学経済学部からビジネス経済学の学士号を取得しています。


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