The Japanese Overseas Investment Report 2017: India (Japanese version)

Author: | Published: 29 Mar 2017
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インド



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SECTION 1: 市場見通し

1.1 日本の企業文化の影響に対するあなたの国の姿勢を要約してください。

インドでのビジネスに対して日本は大変大きな文化的、伝統的影響を与えている。両国とも取引より人間的関係の方を非常に重視する国であり、それは、インドの誰もが知っているスズキ(1982年以来)やホンダ(1984年以来)といった今なお市場の優位を占め、長期にわたって成功を収めている企業によって証明されている。インドのナレンドラ・モディ首相は「インドの中の日本とは、品質、卓越、誠実、高潔さの基準である。」と言っている。2011年8月の日・インド包括的経済連携協定(CEPA)の締結により両国間の経済的、商業的関係は加速化した。

1.2今後12ヶ月における日本からあなたの国への投資の見通しは?

日本の企業に対しても、世界的にもインドは最も魅力的な投資先の一つとして存続するでしょう。国際協力銀行によって行われた日本の製造会社を対象とした調査結果によると、インドは最も魅力的な投資先としてランクインしている。

日本による外国直接投資(以下FDI)は近年増加しており、産業政策促進局が発行したデータを元にみてみると、2000年4月から2015年6月までの累計流入額は189億米ドルに達しており、日本はFDI第4位、全FDIの7%を占める出資元に上昇した。日本のFDIは主に自動車、 電気用品、テレコミュニケーション、製薬などの分野に対して行われており、インドの数多くのインフラプロジェクトに融資を行っている。特筆すべきはインドの首都の交通インフラを一変させたデリーのメトロシステムへの投資と重要な技術の提供である。両国は日本の高速鉄道技術(新幹線または超特急列車システム)をムンバイ・アーメダバード間へ導入する了解覚書を締結した。

両政府はインドでの日本の投資を強めるためにアクト・イースト政策、ジャパン・プラス(日本企業誘致専門チーム)、州政府による日本工業団地の開発など数々の策を講じた。日本は今までも、そしてこれからもインドの革新的探求の重要なパートナーであり続ける。モディ首相は2016年11月に日印首脳会談のため来日し、両国間で幾つかの重要な協定が結ばれた。

日本は2003年よりバイブランド・グジャラート投資サミット(VGGS)に参加。2017年1月に開催されたVGGSで日本は日本企業のための工業団地を設立する意向を示した。 グジャラートは100社を超える日本企業がビジネスを設立するなど、投資先として好まれている。

インド政府はメイク・イン・インディア、デジタル・インディア、スマートシティ、スタートアップ・インディアなどの様々な新構想に着手しており、日本の技術情報と融資提供からなる継続的関心を得られることにより、核エネルギー、防衛、食品産業、貿易を含む多方面の分野に亘り、必ず進展が見られると思われる。

SECTION 2: 外国投資の承認

2.1 外国資本投資の認可プロセスとスケジュールを説明してください。

インドはFDI政策への本質的な変更を加えた。FDIは2つに区分される。グリーンフィールド投資とブラウンフィールド投資である。グリーンフィールド投資とは海外投資家によるインドに於ける新興企業に対する投資であり、一方でブラウンフィールド投資とは海外投資家による既存の企業に対する投資を指す。インド政府はグリーンフィールド、ブラウンフィールド両方のプロジェクトに対してのFDI流入を大幅に緩和した。FDIは自動認可ルートの元、事実上、全てのセクターで許可されている。つまりインド政府またはインド準備銀行の事前承認がなくとも、投資を行うことができ、セクター毎の上限のみが条件となる。例えば政府の事前承認を必要条件とするFDIの限られたセクターが政府認可ルートを通る。

政府認可ルートにおいては、投資申請にはインド政府内外国投資促進委員会の承認が必要となり、1つの窓口だけで申請が承認される。2017年政府予算ではこの委員会を廃止する意向が発表されており、一方でFDI政策の更なる自由化を表明している。これらは全て歓迎すべき変化である。

2.2 特に規制されている分野での投資の制限はありますか?また、政府はそれらの分野に於ける特別な権限を有していますか?

FDIが禁止されているセクターは原子力事業、宝くじ・賭博事業、タバコ製造事業、鉄道事業(認められている業務以外)である。

(恐らく政治的影響を受けやすい)特定の重要なセクター、つまり小売業(卸売、単独・複数ブランド)、防衛、民間航空、金融サービス、ブラウンフィールド製薬事業、通信サービスなどは政府認可ルートの承認が必要となる。

2.3 どの機関が競争承認を監督していますか?また、合併承認のプロセスの概要を説明してください。

2002年競争法の元、インド競争委員会(以下CCI)が設立され、事業の合併承認を監督している。

インド競争法と2011年インド競争委員会(企業結合に関連した事業の取引に関する手続き)規則(企業結合規制)に基づきインド国内の合併規制体制に関する実質的な規定が定められている。

インド競争法に従って定められた資産および売上高を超過する場合、競争法では企業資産、株式、支配、議決権の取得、また、事業者の合併事前の届け出が義務付けられている。

インド競争法では届け出を行った企業はCCIの承認なくして、また、届け出から210日間が過ぎるまでは企業統合を実行してはならないとされている。CCI の承認以前に待機期間を無視して企業統合を行った場合、インド競争法によりCCI は総資産または総売上どちらか高い方の最高1%までのペナルティを課すことができる。また、CCI は取引の通知の怠慢や遅延の場合にも同じペナルティを課すことができる。

当該事業者、取引、企業または取引の当事者がインド国外に置かれ、また、企業統合がインド国外で行われたとしてもインド競争法は適応される。待機期間を考慮しCCI の承認なくしてはインド領域外であっても国際取引は行ってはならない。

CCIへの届け出は以下の期限内に行われなければならない。

  • 合併に関する取締役会における承認から30日以内。または
  • 企業結合の合意またはその他の文書(合併の場合)の締結から30日以内。企業統合規制の見地から、その他の文書にはインド・テイクオーバー・コードに関する公示が含まれる。ただし、規制の承認受領などの追加項目の条件となる場合には、法的拘束力のある契約要項は届け出提出を惹起するとはみなされない。

2.4 他に外国投資家が気をつけるべき認可要件はありますか?

ノンバンク金融会社でのFDIに対する最低自己資本基準など、特定のFDI関連の参入条件があるセクターもある。また、外国投資家が留意すべきは新たに法人を設立する場合、役員選出また税務登録を行う場合などに関連した即時のビジネスコンプライアンスの要求である。さらには、企業のビジネス形態によっては追加コンプライアンスや製造のライセンス要求が適用される場合がある。

SECTION 3: 投資技術

3.1 あなたの国で日本からの投資に使われる最も一般的な法人形態は何ですか?

インド国内で実質的な事業を行おうとしている、日本の投資家を含む外国の戦略的投資家は、完全子会社(WOS)または合弁企業を設立する方法をとるのが一般的である。

外国の投資家は、リミテッド・ライアビリティ・カンパニーとパートナーシップが混成したリミテッド・ライアビリティ・パートナーシップ(以下LLP)の設立という選択肢を更に模索するようになっている。自動認可ルートによって100%承認なしで認められている投資が行われているセクターで事業に従事しているLLP へのFDI が認められている。そして参入に条件はない。しかし、LLPは未だあまり一般的ではない。

駐在員事務所(リエゾンオフィス)、支店、プロジェクトオフィスといった会社という形態ではない組織の設立も、承認取引者カテゴリーI銀行からの承認を受けることによって可能である。RBI からの承認は特定の事例に対してのみ求められる。これらは技術的または財務的協力を奨励し、インドへの輸出入を促進するなど、インドで親会社・グループを代表する際に役に立つ。

3.2 これらの法人形態の設立と事業活動にとって重要な必要条件とは?

会社設立はインド2013年会社法に則った手順通りに行われ、会社登記局(以下ROC)に登録する必要がある。また、会社の取締役の取締役識別番号、電子署名認証の取得、サービス税・付加価値税・プロフェッショナルタックスの登録が求められる。インド国内で会社を設立する場合、最低でも1名のインド居住取締役を求められる場合がある。

2008年LLP法(LLP法) に則った手順に従い、ROC より会社設立証明書を取得し(会社ごとに)2名以上の社員より会社設立を行うことができる。全てのLLP は最低でも2名の指定社員を任命し、内1名はインド居住者でなくてはならない。

支店はROCに必ず登録され、RBIによって特に許可されていない限り、通常親会社と同じ事業に従事しなければならない。駐在員事務所は連絡事業のみが許可されており、直接的であれ間接的であれ、いかなる商業的、貿易、産業的活動も認められていない。

インドの税務署で納税者番号を取得し、RBI に年次活動報告書(AAC)を提出しなければならない。

プロジェクトオフィスは一般的に大規模建設事業、土木、インフラプトジェクトなどを行う外国の企業によって設立される。プロジェクトオフィスを設立するにはインドの企業からプロジェクトを実行する契約を確約することがまず必要となる。プロジェクトオフィスもまたAAC の提出が求められる。

SECTION 4: 紛争解決

4.1 現地の裁判所の施行と紛争解決の訴訟手続はどれくらい効果的であるのか?また、日本の投資家が特に気をつけるべき点とは?

現地の裁判所の施行と紛争解決の手続きは案件の内容による。最近のインドの調停法の改正、商事裁判所や会社法審判所の設立により、外国企業が介入している場合は特に、法体系が迅速で(時間順守を規定)効果的に(技術能力を規定)商事案件を解決する様に移行してきている。特筆すべきは、現在までのほとんど全ての案件に於いて日本の投資家がインド側関係者に対して訴訟を起こす場合、インドの準拠法に則り、海外の仲裁地、通常はシンガポールで行うことを好む。

しかしながら、投資家は特定の紛争に於いて、規制のハードルを含め解決までに様々な上告段階を経て、最終的に時間とコストの影響が嵩む可能性について特に意識しておくべきである。係争中の全ての国々にとっての主な懸念は、問題解決に相当な時間が費やされる点である。

4.2 あなたの国では日本との二国間投資保護協定を締結していますか?また、投資家によってその協定は一般的に活用されていますか?

両国の経済社会情勢によりCEPAは両国間の投資を促進する目的としてはまだ十分に活用されていないのが現状である。 結果、CEPAに基づく紛争解決に関して、法体系の整備は進んでない。

二カ国間関係を改善し、国境を越えた投資を促進すべく両国が新たな手段を取った場合、CEPA のより良い活用への引き金となるであろう。

4.3 現地の裁判所は外国の判定を尊重していますか?また、国際仲裁判断は法的効力がありますか?

日本はインドと相互承認国ではないため、日本の管轄裁判所を通過した判決を施行するためには新たな民事訴訟(訴え)をインドの管轄裁判所に提起し、外国の裁判命令が確かな法令テストを満たしていると提示する必要がある。裁判所は案件についての罪証の十全性や決定の正確性を調査せず、施行を先に進める。

ニューヨーク条約とジュネーブ条約に基づき、日本で承認された外国仲裁判断はインドでも執行力を持つ。裁判所は施行された判断が規定条件を満たしているか仲裁するだけである。

SECTION 5: 外国為替規制と現地のオペレーション

5.1 外国の投資家が留意すべき外貨と為替制限は?

非公開会社の外国投資家への株式の発行、譲渡は、当事者間において用いられるのと同様の、国際的に受け入れられている株式価格算定方法によって定められた公正な評価額以上の価格で行われなければならない。よって、インド非居住者からインド居住者への株式譲渡の際の株価は、上記で定められた最低価格を越えてはならない。FDI 政策の元でインド非居住者へ発行された、また、非居住者によって購入された上場会社の株価はインド証券取引委員会(SEBI)のガイドラインに従って定められた価格以上でなければならない。

SECTION 6: 税務上の影響

6.1 日本の投資家にとって特に役に立つ有益な税の仲介法域または税制はありますか?

他国に比べ日本の投資家にとって特に役に立つ税の仲介法域はない。 さらに、日印二重課税防止条約(DTAA)が非常に好ましい為、日本の投資家は通常、対インド投資を他の法域を通しては行わない。

モーリシャス、シンガポール、キプロスなどの税の仲介法域はインドとの好ましいDTAAと相まった低いキャピタルゲイン税体制のため、かつてはFDIルートで対インド投資を行っていた。 しかし、誤用されていた税法の抜け穴を塞ぎ、より厳重にするためにこれらの協定は再協議に入っている。

6.2 配当に対する法人税と源泉課税の適用率はどのくらいですか?

2016-2017年度の外国法人及び国内法人に対する法人税率はそれぞれ40%と30%である。2015-16年度の総受領高または総売上高が5億ルピー以下で、一定の要件を満たす国内法人は2017年度財政法案において2017-18年度法人税率を25%とする提案がなされた。インド国内で日本の投資家によって設立された企業は国内法人とみなされる。

国内法人に対して15%の配当税(DDT)の支払いが課せられている。インドでは配当を受け取った外国株主は、その配当に対しては課税されず、配当は源泉課税の対象ではない。

税率は納税者の総所得によって変わるが、サーチャージ、教育目的税、暫定教育税を乗じて計算される。

6.3 政府は税制上の優遇措置を構築していますか?

インドでは事業を設立するための様々な税法上の優遇措置がある。事業活動の中には幾つかの条件が必要で、以下を含む所得税から免税期間を得る法的権利がある。

  • インフラ設備の開発、運転、メンテナンス
  • 発電、送電、配電
  • 特別経済区(SEZ)に事業所を構え許可された事業活動を請け負う
  • 果物、野菜、肉、食肉加工品、鶏肉、水産物、乳製品の加工、保存、梱包または、穀類の出荷、保管、運送の統合ビジネス
  • コールドチェーン設備の設置と運転、農産物の倉庫保管、天然ガス、原油、石油パイプラインネットワークの敷設と運転

インドには企業が支払うわずかな税務義務で高い利益のある最低代替税(MAT)がある。しかし条件によってMATは、インドで恒久的施設(PE)を持たない外国企業には適応されない。さらには、上場株、非上場株の 譲渡によるキャピタルゲインに関して租税譲許措置が取られる。

6.4 あなたの国と日本との間で相互的な租税協定はありますか?あればそれは投資家にとってどのような助けとなりますか?

インドは日・インド包括的経済連携協定(CEPA)に加えて日印二重課税防止条約(DTAA)を締結している。また、2012年には、日本とインドは社会保障協定に合意している。

投資家が考慮すべき重要な点は

  • 日本企業の利益は、インドに恒久的施設を設け、そこで事業活動を行っていない限りは日本のみでの課税対象となる。多くの場合、インドで執り行われているとしても主な事業活動の予備的、補助的活動であればPEは設けない。例えばリエゾンオフィスはPEではない。
  • 日本居住者によってインドより取得された利子、ロイヤリティー、技術支援料にはより低い源泉課税率である10%が課税される。
  • インドで生じ、日本政府または日本政府に完全に所有されているあらゆる金融機関(日本銀行、国際協力銀行、国際協力機構など)によって得られた利子は適用しない。
  • 社会保障協定により(5年までの)短期契約でホスト国に就いている従業員は自国で社会保障費を支払っており、その適用証明書が入手できた場合、ホスト国での社会保障費の支払いを免除される。
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著者
シリル・シュロフ

シリル アマーチャンドマンガーダス法律事務所 マネージング・パートナー
インド ムンバイ
電話: 91 22 2496 4455
メール: cyril.shroff@cyrilshroff.com
HP: www.cyrilamarchandblogs.com

シリル・シュロフ氏は会社法、証券市場、銀行取引、インフラ整備法、民間クライアント案件など幅広い範囲の分野での34年に亘る経験を有する。『International Financial Law Review』誌や『Chambers Global』誌などによって行われた幾つかの国際調査ではインドの同分野におけるトップ弁護士として常に評価されている。 

シュロフ氏は同弁護士事務所の日本デスクを率いてお

り、日印取引に関する助言に加え、氏は定期的に来日し、インドに焦点を絞ったセミナーでの講演を行っている。シュロフ氏は「インド法曹界における伝説的人物」と評さ

れ、「インドのM&A王」と呼ばれている。氏はハーバード大学法学大学院によって設立されたリーガルプロフェッション研究センターの諮問委員会、国立証券市場研究所の諮問委員会 、ティルチIIM委員会のメンバーである。氏はまた、コーポレートガバナンス協議会や資本市場委員会、未公開株式とベンチャーキャピタル委員会、商品市場委員会、金融投資家委員会そして規制関連業務委員会などのインド産業同盟(CCI)の様々な委員会にも名を連ねる。シュロフ氏はムンバイのガバメント・ロー大学でBA、LLBを取得

後、1982年に弁護士登録。1983年よりボンベイ高等裁判所の訴訟弁護士である。


About the author
 

リシャブ シュロフ 
シリル アマーチャンド マンガーダス法律事務所 パートナー  Tokyo, Japan

インド ムンバイ
電話: 91 22 2496 4455
メール: rishabh.shroff@cyrilshroff.com
HP: www.cyrilamarchandblogs.com

リシャブ シュロフ氏 ロンドンのロンドン・スクール・オブ・エコノミクスにてLLBを取得後、2007年にシリル アマーチャンド マンガーダス法律事務所のムンバイオフィスに入社。2007年にマハラシュトラ・ゴアのバリスタ評議会の弁護士として認められ、また、イングランド及びウェールズ最高裁判所の事務弁護士でもある。 

シュロフ氏は同法律事務所の企業チームに属しており、多数の海外及び国内商取引にも携わっている。また、同法律事務所の日本デスク共同部署長であり、日本の顧客と大変頻繁に仕事をしている。

8年に亘り日本デスクに従事する中で日本国内また国際企業からインドへの投資に対するアドバイスも行っており、専門はインドへの対外投資、個人M&A、国内・海外合弁事業、保険である。氏は2年間(2007–2009)に亘り同法律事務所の財務プロジェクトチームのメンバーであった。インドに焦点を絞ったセミナーや日本とインドの商取引の為、定期的に来日してい

る。同法律事務所の日本顧客に対する社内報、Shinkansen to India(新幹線でインドへ)の編集者でもある。